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「こんにちはー!【ササズ・キッチン】でーす。
お弁当の配達に参りました!」
日に焼けた体格の良い青年が、会社の受付に現れた。ポロシャツにチノパン姿でお弁当の入った大きなビニール袋を両手に持っている。
偶然、受付担当だった私は少し焦って、カウンターから出て、弁当を受け取った。
「あー、ササズ・キッチンさんですね。電話させて頂きました伊藤です」
「はい!ご注文はAランチ3つに、Bランチ2つですね!ありがとございます!」
体操のお兄さんみたいな爽やかな笑顔。11時45分。時間的にもグッドだ。今後も取引アリかも。
「ご苦労様です。あのですね、今回は初めてだからしょうがないんですが、次回からは、向こう回って頂いて通用口からお願いしますね。警備のものがおりますので、配達の旨、伝えて下さい」
「あっ、やべ!こっちはまずかったですか?すいません!慣れてないもんで!」
ぺこぺこ頭を下げる。
「いえいえ、いいんですよ、どうせこの時間、来客のアポありませんでしたから。じゃあ、お弁当屋代、2500円です」
私は自分の分も含め、皆から預かった金の入った封筒を制服のスカートのポケットから取り出した。
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