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「わかった。さてここで問題がある。この大きさの結界だとひとりだと少々心もとない。できれば三人以上で結界を維持し、そして戦いにも参加してもらいたいのだが、出来る者、いるか?」
功一郎がすぐさま功太に目配せして紗梨菜が功太を笑顔で見上げた。
「それ、私も参加するわ。戦うのは嫌だもの」
功太は友梨が名乗り出てくれて安心したようだ。友梨は功太が人間であった頃の恋人だ。そして友梨はまだ人間なのだ。
「そうだな、お前がいればもう勝ったも同然だ、頼んだぞ。 …これで、逃げる余地無しだ。完全に叩き潰せる」
『はい。申し分ないかと』
アストールが笑顔で功太に言った。
「場所はどこなんだ?」
『雄雄しき山の近くです』
雄雄しき山とは功太たち家族の寛ぐ場所としている神の坐山だ。人間たちは畏れを抱いており、誰も近付いて来ない場所だ。
「そうか、ここから数歩で行けるから楽でいいな。 …温泉場を壊してしまいそうだが、仕方ないだろう。 …デヴィラと相談した後、戦うことになる。 …みんな、心の準備、しておけよ」
「はい! 隊長っ!!」
威勢のいい部下の声を聞いて、功太は悪魔のフロアに続く廊下のドアを開けた。
功太がフロアに出ると、お誂え向きに悪魔の長である大魔王デヴィラがいた。
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