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「 琴にちゃんと、謝らなきゃ。」
匠は教室を飛び出し、琴を探した。
3階の校舎から外を見ると、
グラウンドの片隅にある水道で顔を洗う琴が見えた。
涙をごまかしているんだろう。
「 琴。。。俺も、お前の事、ずっと・・・」
急いで階段を駆け下り、
グラウンドに出る扉に差し掛かった時、
足が止まった。
視線の先には・・・
琴に寄り添う、蓮がいた・・・。
「 はい。琴ちゃん。」
ハンカチを差し出す蓮。
「 大丈夫。自分の使うから。」
「 何かあった?」
「 あぁっ。
あの、蓮君。」
「 うん。」
「 気持ち・・・
とっても嬉しいんだけど。
あの、小説・・・。」
「 ああっ、読んでくれたんだ!
これから、毎日更新するからね。」
「 いや、その・・・
もう・・・やめて・・・ほ・・」
そう呟く琴の言葉を耳にして、
安心した瞬間だった。
「 あっ!」
「 蓮は、大きな体で・・・
琴の小さな体を抱きしめていた。」
琴は驚きのあまり・・・
身動きが取れない様子だ。
蓮は優しく琴を包み込み、
ギュッと腕に軽い力を入れたあと
耳元でそっと呟いた・・・。
「 わかった。。。よ。」
「 その代わり、次の日曜日。
一緒にデートして。
約束してくれたら・・・辞めてもいいよ。」
「 えっ・・・。」
「 本当に、辞めてくれる?」
「 うん。」
「 わかった・・・。」
「 Awwww yeah! ( やったー! )
必ず僕の事、好きにさせるからね。」
「 あっ。あの・・・。」
「 ハグ。。。外して欲しい・・・。」
「 OK!」
「 琴ちゃん。」
「 はい。」
「 髪・・・
すっごく、いい匂いするね。」
「 ・・・・・・・・・ 」
頬を赤らめる琴の姿に、
嫉妬していた。
蓮が抱きついた時、
殴りかかりたかった・・・。
でも、足が動かず・・・
2人のやり取りを見ることしかできなかった・・・。
気が付くと、扉の陰で
蹲る様に・・・
崩れ落ちていた。
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