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「 ありがとう。頂きます。」
「 蓮さぁ。お前よく分からないなぁ。」
「 態度でかいと思ったら、
妙に、低姿勢だったり。」
「 同世代に久しい人いないから・・・。」
「 親友、匠だけだから。」
カナダから転校してきてからは、
周りはいつも女の子ばかりで、
クラスの男子も、ひがんで近寄る奴はいなかった。
俺もその一人だが、
こいつが、かってに親友と思う事を
否定するつもりはなかった。
「 でっ、何?
用があったんだろう。」
「 明日、琴ちゃんとデートする。」
「 知ってるよ。」
「 匠にだけは、ちゃんと伝えとこうと
思った。」
「 匠、好きなんだろ。琴ちゃんの事。」
「 親友だから、ちゃんと、勝負したかった。
隠れてコソコソしたくないから。」
ギィーッ。
ブランコに揺られながら、匠は小さく頷いた。
「 何言ってんだよ。
琴がデートOKしたんだろ、
だったらいいじゃん。」
琴は流されて、
フラフラ自分の生き方選ぶ子じゃない。
彼女なりに、悩んで出した結果なら
俺に止める権利なんてなかった。
大切な琴なのに、
誰にも、渡したくない筈なのに、
蓮なら、仕方なく思うのは何故なんだろう。
悔しさから、
こみ上げる涙を抑えるのに、
ブラックの苦味がちょうど良かった。
「 コーヒー、上手いな。」
「 うん。」
「 匠、ありがとう。」
「 それだけ、伝えたかった。じぁ、また。」
「 ああ。気をつけてな。」
暗がりの中、
何故か、蓮の姿が見えなくなるまで
見送っていた。
「 はぁ。」
「 ブラックは半分飲むのが限界。」
「 琴を思う気持ちに、限界はない。
まだ、
俺・・・
間に合うかなぁ。」
愛する故に、
気持ちが臆病者になってるのかな。
何かに気づき、
結論を出した様に、
公園を後にした。
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