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ログインしてと。
「 更新 」
「 更新っと、」
「 うん?」
「 なんだこれ、勝手に更新されてる!」
匠の作成している小説のページは、
誰かにより勝手に綴られ、更新されていた。
「 もっと、自信を持ちなさい。
上辺だけの綺麗な女性を知るよりも、
その綺麗さを培ってきた、幼き頃からの
1つ1つを知る事の大切さ。
京友禅も同じ様に、
仕上がりを見るのも素晴らしい、
しかしながら、
1つ1つ染め上げられた、
積み重ねを知る方が、
より深みのある喜びを得られるもの。
着物も人生も同じ様なもの。
匠お前は、
琴の積み重ね、誰よりも側で・・・
彼女の魅力を
見てきたんじゃないのかい?」
誰かにより更新された文章。
「 爺ちゃんか?」
匠は、続けて文字を打ち込んだ。
爺ちゃん、姿は見せられないの?
「 五山の送り火が燃ゆる、
1時間だけ・・・。」
爺ちゃん、何しにきたの?
「 迎えに来たんじゃよ。」
誰を?
「 ・・・・ 」
「 えっ、それって、誰か死んじゃうのか?」
「 ま、まさか、俺死ぬのか?」
「 爺ちゃん、教えてよ!」
「 ・・・・・・ 」
「 8月16日 五山の送り火消ゆる頃、
匠の大切な存在を連れてゆく事になる・・・。」
「 えっ、あと2ヶ月しかないじゃん。」
「 いったい、誰!誰を連れていくの?」
「 教えて、爺ちゃん!」
「 教えてよ。」
「 ・・・・・・・・・ 」
「 俺の大切な存在って・・・。」
「 琴・・・両親・・・俺自身なのか・・・。」
この日は、いくら小説を通し呼びかけても、
善作から返答がくる事はなかった。
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