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電車に乗ると一駅は、あっと言う間だった。
車内で蓮はもぞもぞと
準備を始めた。
琴はしばらく様子を伺っていると・・・。
「 蓮君、どうしたの? 変装? 」
伊達メガネをかけ、口元には大きなマスクをはめていた。
「 いや・・・その・・・。
ゴホン、ゴホン。」
「 風邪気味で・・・。
あっ!そうそう。
デート第二部の始まりだから、
イメチェン、イメチェンだよ!」
蓮の挙動不審な行動に違和感はあったものの、
カナダでの流行りらしく、
受け入れる事にした。
駅に着くと、流石に女子大学の最寄り駅だけあり、
可愛くお洒落なお店が沢山あり、
行き来する人も、若い女子大生ばかりだった。
「 あっ、ここだよ。
洋風のレンガ作りの外壁に、パティシエ MUKAI と書かれていた。」
「 ケーキ屋さんなんだね。」
そう呟くと、蓮はさりげなく入口の扉を開けて
琴をエスコートしてくれた。
「 カラン カラン 」
「 いらっしゃいませ。」
「 2名様ですね。
こちらの窓際のお席へどうぞ。」
「 ありがとう。」
店内には女子大生が沢山いたが、
琴ちゃんの言っていた通り、
カップルの姿もちらほら見受けられた。
「 蓮くん、大丈夫?」
「 もちろん。大丈夫だよ。」
「 意外だなぁ。女性と接するの上手なのに、
年上の女子大生は苦手なんだっ。」
「 なんか。蓮くんの、弱み見つけた!」
この時、琴は後に起る事態を
全く想像していなかった。
「 ははっ。参ったな、琴ちゃんには・・・。」
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