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隣の席にいた女子大生のグループが、
蓮に近寄り、声をかけてきた。
「 あの。すみません。」
「 REEENさんですよね。」
「 いや。その。
よく似ているって言われるんですが・・・
違います。」
琴は状況を理解出来なかった。
女子大生は怯むことなく、
言葉を続けた。
「 あっ。プライベ―トですよね。
あの、私すっごいファンで、
日本に帰国している噂は聞いていたんですが、
まさか、こんな側で逢えるなんて・・・。感激です。」
「 あの、握手だけして頂けませんか?」
この時の、蓮の優しさが仇となってしまった。
差し出された女子大生の手を取り、
握手を交わした・・・。
「 しまった! 」
この行動により、
本人と認めてしまったのだ。
そのしぐさを見た、別のテーブルの女子大生たちは
一斉に蓮の側を取り囲んでしまった。
「 えっ!?」
琴には何が何だかさっぱりだった。
握手、サイン、写真を求める女子大生に
仕方なく、対応している様子だ。
サインをしている雑誌を覗きこむと、
そこには、モデルとしてポーズをとる
蓮の姿があった。
「 ・・・・・・・ 」
蓮は急に立ち上がり、
琴の手を取り、
店を出ようとした。
ふと窓に目を向けると、
いつの間にか、沢山の女子大生の人だかりが出来ている。
「 SNSで、拡散されたのだ。」
「 琴、行こう。」
そう告げると、
蓮は琴の手を強引に引っ張り、
琴の体をかばいながら、
女子大生の人混みをかき分け
走り抜けその場を逃げ去った。
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