10人が本棚に入れています
本棚に追加
「 はぁ。はぁ。 」
「 ごめん。ほんと琴ちゃん。ゴメン。」
大丈夫?琴ちゃん。
「 うん。」
「 でも・・・ビックリした。」
蓮がしきりに変装していた訳が、
やっとわかった。
「 隠すつもりは無かったんだけど・・・。
自分から中々言いだせなくて、ごめんね。」
「 うん。」
「 カナダでさ、たまたま日本の映画の撮影してたことがあってね。
日本人だから、たまたまエキストラで出演して欲しいって言われて
通行人で出たんだけど、
なんだか、俳優さんより目立っちゃったらしくて、
何枚か写真撮られたんだ。」
「 知らないうちに日本で、
大人向けの雑誌に掲載されてて、
それがキッカケで、いくつかモデルの仕事するようになったんだ。」
今は大学生に人気のファッション雑誌の表紙を飾る様になっていた。
「 女子大の近くって聞いた時、
嫌な予感はしたんだけど・・・。」
「 せっかくのデート台無しにしちゃったね。」
「 ごめんなさい。。。」
「 驚いたよっ。
でも、
でも、
美味しかったね。パンケーキ。。。」
琴はあえて蓮の秘密に触れようとしなかった。
その気遣いの出来る事の優しさが、
蓮の気持ちをより熱いものにしていた。
「 やっぱり、琴は素敵な女性だ。」
そう、言うと同時に、
蓮は琴を抱きしめていた。
ハグとは違う・・・
少し強引で、強く抱きしめられる感触・・・
ただ・・・ただ・・・
お互いの鼓動と・・・
温もりを感じながら・・・
蓮は自分の気持ちを告げようとした時、
琴は見事に、
交わしてきた・・・
「 蓮君・・・
すっごく・・・
いい匂いするね・・・。」
「 はっははっ。」
不意をつかれた言葉に、
自然と抱きあう体がほどけた・・・。
「 オレが、琴ちゃんの髪の匂いを褒めた仕返しだな。」
「 へへっ。」
「 意外と恥ずかしいでしょ。
匂い褒められるのって。。。」
「 琴ちゃんには参ったよ。」
駅に戻ると、また大変な事になるから、
二人はこのまま一駅分
地元の駅まで歩いて帰る事にした。
最初のコメントを投稿しよう!