10人が本棚に入れています
本棚に追加
「 哲弥お前良く覚えてたな。」
「 匠、俺も彼女出来なかったから、
すっかり忘れてたんだけど、
美術部の1年生の男子が同じ事やってるの
見つけて、思い出した。」
「 ははっ。みんなやる事一緒だな。」
「 見てみろよ。匠のとこ。」
「 ええっ。なんで?意味無いじゃん。」
「 いいから!」
窓側の板壁に目をやり、
悪戯書きを探した。
「 あ、あっ・・・あった・・・ぞ。」
間違いなく自分が、
内緒にこっそり彫った
相合傘だ。
傘の右側には、長岡 匠。
「 ・・・・・・ 」
「 哲弥・・・ 」
「 俺、先に帰るわ・・・。」
「 そっか、
傘忘れるなよ。
俺カッコ悪くて、持つの嫌だし。」
椅子にぶら下げた傘を掴むと、
匠は走って美術室を出て行った。
「 相合傘 」
長岡 匠の名の隣には・・・
「 松本 琴 」と
小さく、彫られていた・・・。
最初のコメントを投稿しよう!