待ち人

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「 哲弥お前良く覚えてたな。」 「 匠、俺も彼女出来なかったから、 すっかり忘れてたんだけど、 美術部の1年生の男子が同じ事やってるの 見つけて、思い出した。」 「 ははっ。みんなやる事一緒だな。」 「 見てみろよ。匠のとこ。」 「 ええっ。なんで?意味無いじゃん。」 「 いいから!」 窓側の板壁に目をやり、 悪戯書きを探した。 「 あ、あっ・・・あった・・・ぞ。」 間違いなく自分が、 内緒にこっそり彫った 相合傘だ。 傘の右側には、長岡 匠。 「 ・・・・・・ 」 「 哲弥・・・ 」 「 俺、先に帰るわ・・・。」 「 そっか、  傘忘れるなよ。 俺カッコ悪くて、持つの嫌だし。」 椅子にぶら下げた傘を掴むと、 匠は走って美術室を出て行った。 「 相合傘 」 長岡 匠の名の隣には・・・ 「 松本 琴 」と 小さく、彫られていた・・・。
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