待ち人

8/8
前へ
/58ページ
次へ
「 あっ!そうだ。」 匠は立ち上がり、 ポケットから取り出し琴に差しだした。 「 これ、琴にあげる。」 「 何?」 「 わぁぁぁ! コレ!アクアマリンだぁ。」 「 えっ!知ってるの。」 「 もちろん。自分の誕生石だよ。 へえっ。 すっごく綺麗。」 「 誕生月、覚えててくれたんだ。」 「 これ、和名で藍玉(らんぎょく)って言うんだよ。 海の水を象徴してるんだ。 航海の安全を願う石で、 航海を人生に置き換えて進むとか歩んでいく意味から、 幸せな人生を送る、 幸せな結婚のお守りなんだよ。 」 「 すっごく嬉しい。」 「 匠、ありがとうね。」 琴に、石の意味する想いが伝わり、 ホッとした匠だった。 「 なんでだろう?」 「 今日ね。  蓮くんとデートしてて すっごく、ドキドキするし 緊張感もあって、楽しかったんだ。 それなのに、どうしてだろう・・・。」 「 匠と・・・ 匠といると、もっともっと・・・ ドキドキする事より、 心地よくて・・・ 安心するんだ。。。」 「 琴、疲れてるんだよ。きっと。」 「 琴、そろそろ、 帰ろうかっ。 門限もギリギリだし、 俺家まで送るよ。」 「 うん。 そうだね。」 「 先に立ち上がり傘を持つ匠に寄り添う様に、 正面から立ち上がろうとした時、 琴は匠の首元に手を掛け、 背伸びをしながら・・・ 二度、優しく唇を交わした。 そして・・・ 再び、唇を重ね合い 小雨の降る中、 二人は抱き合いながら、 熱く長いキスをした・・・。」
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加