想い人

4/13
前へ
/58ページ
次へ
「 はーい。席について。」 「 もう、チャイムなってるぞ。」 教壇では、担任の九条先生が大きな声を出している。 「 また、九条が担任かよ。」 「 匠、お前も一緒だよな。」 「 ああ。」 腐れ縁で、高校3年間クラス替えはあっても、 何故か離れる事がなかった親友の山崎哲弥(てつや) それと、担任の九条先生も同じだった。 「 新学年、新学期のスタートだ。」 「 そこで、早速だが今日から新しい仲間を 一人紹介する。」 そう、伝えると先生は扉を開けて、 一人の生徒を招き入れた。 「 きゃぁーっ。」 女子たちの、黄色い声援が響き渡った。 身長は190cm位、少し焼けた肌の色から、 いかにも運動は得意ですオーラが全身から伝わりだす。 細身の体だが、引き締まった感じは 制服の上からでも分かるくらいだった。 引き込まれる様な涼しげな眼差しに、 優しい頬笑みを躊躇なく浮かべている。 正直、男から見ても出来過ぎで、 全てにおいて負けそうだった。 直観的に関わりたくない、 そう思った第一印象だった。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加