夏の警備員

スポット契約

「警備員を雇うには幾らかかるとね？」

この質問をされた時は、素早く三橋さんに連絡する。向こうからやって来たチャンス。

三橋さんはすぐさま飛んで来る。

警備員に聞いてくるのには理由がある。

一つ目は警備会社の営業を嫌っている。
二つ目は他社との料金比較をしたい。
三つ目は警備員の態度を見極めるため。

今まで警備員を雇ったことのないお店のオーナーにとって、警備会社のイメージは良い悪いの半々らしい。

CMで流れている超大手は建物の警備が主体で、スポット契約など殆どしない。仮にしたとしても値段は高く、とても契約しようとは思わない。

だが、名前も聞いたことないような会社なら？
電話して確認するよりは、目の前にいる警備員に聞いた方が早い。

という流れで、俺に聞いてくるわけだ。
あとは、悪くいう訳ではないが、年配の警備員は頼りない――頼みたくないの声も多いのは事実だ。

そんなことはない。よく見かけるのは年配の人が多いじゃないか。そんな意見もあるだろう。

その理由は――
圧倒的に人材が不足しているからだ。