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30度は当たり前の今、若者が好んで外で警備員の仕事をするのは稀なことだ。
一方、年配の方々は(日払い)の警備員の仕事は非常に美味しいらしい。
大手ならショッピングモールや地下街など涼しい場所での警備もあるが、俺がいる小さな警備会社では夢のまた夢のような話でしかない。
「三橋さん、たまにはガソリン代くらい出してくださいよ」
「ん~また今度ね」
「じゃあ、行きません。他の人間に振ってください」
交通費。
日給には含まれていない。かといって、別途交通費支給なんてこともない。これは大手も同じだろう――と思いたい。
「イケメン警備員って言ったからさ、頼むよ。使いかけのクオカードあげるからさ」
「残金いくらです?」
「たぶん、ジュース二本分はあると思う」
「まったく、今回だけですよ。で、日給は?」
「今日よりも千円増しね」
クライアントによって、時間によっても日給は前後する。本当は高い日給の場所だけを選びたいのだが、高いのには理由がある。
一つ目はへんぴな場所にある。
二つ目は問題のある店。これは二つの意味がある。
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