8月109531日

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それからゲームを再開したのは、3日経った8月56日の事だった。 しばらく放心状態が続き、その間の日記も恐怖と怨嗟の殴り書きだったのだが、 再開する気になったのは、画面に表示された「ごほうび」に賭けようと思ったからだ。 それが何なのかは分からないが、何かが変化するだろうという希望を持てた。 文面から察するに、僕が所持している残り242本のゲームを遊び尽くす事で、 それが成されるという事のはずだ。 「ごほうび」というからには、自分にとって望ましいものに違いない。 そう信じて、2本目のゲームを手に取った。 それからの僕は、正真正銘、ゲームの事しか考えない生活となった。 1本、また1本とゲームを遊び尽くし、終ったらすぐに次のゲームに差し替えた。 普通のゲームクリアと、「ゲームのかみさま」が提示するゲームクリアは全く意味が違う。 どこまで遊べばゲームクリアとなるかが分からない為、とにかくひたすら上を目指すしかない。 例えば、ただハイスコアを取るだけの昔気質なゲームでも、 そのゲームの達人級のスコアを出さなければ、ゲームクリアとはならなかったりした。 ゲームクリアが認められると、1本目のように正規の画面から切り替わり、 「ゲームクリアおめでとう このゲームは ○ほんめの クリアです」 という定型文が表示される。 それ以降、そのゲームを起動し直しても、上記の画面しか表示されないのだ。 なので、クリアしたゲームは二度と遊べなくなってしまう。 1本目のゲームも、たまに起動させてみれば、やはりあの文面がそのまま表示される。 その度に「ごほうび」の4文字を確認し、また次のゲームを手に取るのだ。
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