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だが途方に暮れながらも、心のどこかから沸々と湧き上がる、昂揚感に気付いた。
新しいゲームが遊べる、それも10000本も、無尽蔵の時の中で。
それはゲーマーなら誰しもが一度は思い描く、荒唐無稽な理想の生活なのだ。
理屈を超えて、それに心を踊らされるのは、ゲーマーの本能なのだと思う。
だとすれば、やはり「ごほうび」で間違ってはいないのかも知れない。
僕はゲームプレイを再開させた。
どうせ他にやる事もない。だったら無心でやり続ければいい。
これによって、精神的には人智を超えた、本物の仙人になったとしても。
しかし、それでも最後には「人」として、元の生活に戻りたい。
母に会いたい。動く姉と会話したい。晩御飯を食べたい。新学期を迎えたい。
姉の顔を見た事で、その想いは何倍にも膨れ上がった。
そうして僕は、選択肢の中から1本目のゲームを選んだ。
その1本目のゲームクリアに費やしたのは、237時間。
既に200本以上のゲームクリアを経験した事で、1本にかかる時間は確実に短くなっていた。
そして表示されたメッセージはこうだ。
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