8月109531日

僕が所持している、つまりこの部屋の中にあるゲームは、
夏休み前に買ったものと、元々持っていたものを合わせて243本。
1本を徹底的に遊び尽くす場合、平均して約300時間はかかると考えられる。
ただクリアするだけでなく、普通はやらないステータスMAXやアイテムコンプリート、
ハイスコアや縛りプレイにまで手を付けるなら、それぐらいは軽く遊べるはずだ。
それを所持しているゲーム全てでやるなら、膨大な時間を潰せる。
そうしていれば、いつかはこの状況が元に戻るかもしれない。
僕は、それを実行する決意を固めていた。

それからの日記には、その時にプレイしたゲームの攻略がひたすら綴られている。
23時間ゲームをして、1時間日記を書く。そんな日々を一心に過ごしていた。

窓の外の天気が夕暮れのまま変わらないのだから、
もはや「1日」や「1年」という概念すら意味を成さなくなっていたのだが、
それでもやはり、24時間で区切りを付けるという習慣は続けていた。
そうしなければ、「人としての生活」を完全に失ってしまいそうだったからだ。
無為に垂れ流される時間に「意味」を与えていれば、
自分がまだ「人」として存在し、生活をしているという実感を得られた。