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そんなゲーム生活を続けていくうち、またある事に気付いた。
この部屋には、何故かいつまでも電気が通り続けている。
発電所の仕組みがどうなっているのかは知らないが、
普通に考えれば、この部屋以外の世界全ての時間が静止しているなら、
必然的に電気も来なくなりそうなものだ。
だが相変わらずテレビやゲーム機やPCは動くし、照明は点くし、スマホも充電し続けられる。
ただしインターネットには、何を使っても繋げられなかった。
なので新しいゲームをダウンロード購入する事は出来ないし、
サーバーに接続する必要のあるスマホゲームは、全て遊べなくなっていた。
その事に気付いてから、僕は今のこの状況に、ある一定の「ルール」の存在を感じていた。
僕の部屋の外側だけで世界の時間が静止し、
死なない身体となって、電気だけは通っている。
これはまるで、僕が「時間を忘れてゲームを遊び続けられる」ように、
何者かに設定されたルールのようだ。
それが錯覚でないと分かったのは、8月53日、1本目のゲームを遊び尽くした時だった。
1本のRPGを計318時間、考えられる全ての要素を消化し尽くし、
最後の仕上げに最高難度設定を縛りプレイでクリアし、エンディングを迎えたのだ。
ネットに繋がらないので、攻略サイトを見る事もできない。なので全てを自分で攻略した。
ゲーマーだと自負していた自分も、かつてここまで1本のゲームをやり込んだ事はなかった。
達成感とともに、自分が「生きている」という実感を得られた。
こんな生活を続けていられるなら、まんざら悪くはないかも、
そんな想いを抱きながら、エンディングを眺めていた、その時だった。
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