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 海から上がり30分で服は乾いた。 「じゃあ行きますか、な~にを、食おっかな~♪君達の奢りで」ご機嫌の慶太。  俺達はあまりの暑さにファミレスに避難することにしたのだが、ただファミレスに行って飯を食うだけでは面白くない、そこで、一勝負して勝った奴にふたりが、一品好きなものを奢ると言う賭けをしたのだ。  勝負に負けた俺は重い足どりでファミレスに向かった。  国道沿いの道をしばらく歩くと、前方から白杖をつく老人が歩いてくる。 邪魔にならぬようにと広めに道を開けた。  老人とすれ違うところで、「すいません」と声をかけられた。 「此の辺りに自動販売機は有りますか?」  俺の住むこの町は俗に言う田舎だ。近所にコンビニなんかないし、販売機は此処からだと、俺達が走っても5分はかかる所だ。  そんな事を思っていると、「ちょっと遠いな......、買って来てやるよ」と、慶太が言う。 「すまないねぇ」と、老人は年季の入った黒革の財布を取り出し、千円札を一枚取り出した。  老人は慶太に水を頼むと、君達の分も買っておいでと微笑んだ。  じゃんけんの結果、慶太と康平が買いに行く事になり、おれは老人とふたりで待つことになった。  少し先に簡易だがバスの停留所がある。屋根もありベンチもあるので、そこに移動することにした。ここは暑すぎる。
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