1.群衆は異端の入り口に触れる

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土日を挟んで、月曜日から本当の高校生活が始まった。 マコトが朝の教室に入ると、一番奥の窓際、後ろから二番目の席に白いかたまりが座っていた。 彼女は机に顔を伏せているようで、パーカーについている長いうさみみが、だらりと机をはみ出て端から垂れていた。 がやがやと教室は賑わっている。 先週のホームルームから、生徒たちはそれなりに交流し、既にいくつかグループができているようだった。 もちろん同中おなちゅーの連中が集まってるだけのグループもあるだろうが、よく知らないもの同士が初々しく探り会う会話もマコトの耳に聞こえてきていた。 己の、『明らかに不良です』といった見た目と態度は一種の牽制だ。 スズメバチが金と黒を纏ってブンブンと羽音を響かせるように、金髪のマコトはポケットに手を突っ込み、眉間に皺を寄せ、教室の後ろを足音を立てて歩いた。 そして、宇津木の席の前で立ち止まる。 シン、と静寂が教室に降りた。
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