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「どけ。入れねぇだろ」
上から降ってきた声に、彼女はずりずりと座ったまま移動する。
宇津木が退のいたので、マコトは自宅のドアを開けた。
まず鞄を放り込み、両手があくと、外廊下でうずくまる宇津木のフードの耳を引っ張った。
「ほら」
短く命令すると、宇津木は両手をマコトに向かって伸ばした。
「…ん」
前から抱えてやる。
宇津木の首筋は湿っていて、子供の匂いがした。
夕方の春の部屋は薄暗く、すこし蒸れている。
マコトは宇津木を居間に下ろすと、服の上から確かめるように彼女の体を触った。
細く、無駄な脂肪など全くなさそうなのに、どこもかしこも宇津木は柔らかい。
右肩に触れると、ヒュッ、と息を飲む音がした。
「ここか。脱がすぞ」
マコトはそう断りをいれ、宇津木のパーカーのジッパーを下げた。
身じろぎをして嫌そうに眉をひそめるものの、宇津木は抵抗はしなかった。
パーカーの袖から腕を抜き、フードも取る。
小さな頭の短い髪にマコトが指を差し込むと、そこはしっとりと湿っていた。
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