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岩手のとある町で”土下座地蔵”と呼ばれる都市伝説が近ごろ巷に流れていた。
”土下座参り”や”首なし参り”などとも言い、
名称はまちまちだが同じ話であることは確かだった。
道端などで修繕されないまま放置されている首のない地蔵に
土下座をして頼み込むと願いが叶うという有り触れた願掛けで、
一度誓願した者は首なしの地蔵を見かけたならば必ず土下座をして拝まなければならず、
願いが叶うまでお参りを止めてはならない。
この誓いを破ると地蔵が
失くした首の代わりにその者の首をもぎ取って行ってしまうという話だ。
地域によっては仏滅の日は拝んではならないなど
細部が異なる場合もあるが話の概容は同じである。
こういった願掛けの噂や伝承は各地に数多く存在するがこの手の話は
元となる物語が流布されるにつれ土着的な伝承や実際に起きた事象と混ざり合い
変容してその土地特有の伝説となって定着したものが多くみられる。
そして、私はこの
”土下座地蔵”の変容の起因となった出来事に少なからず関わっていた。
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