解放

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いつものように午前中の家事を終え、ジョギング用のランニングTシャツに着替え、ナイロンパーカーを着た。 毎日のことなのに、何となく心が弾んでいる。同時に抱く微かな不安感。 軽く準備運動をして、ざわめく気持ちを紛らわせた。 ジョギングを始めたのは、結婚して、ここに引越して来てから。 仕事を辞めて家庭に入り、なんとなく持て余した時間を埋める目的だった。 もちろん、体型の維持、健康の増進も兼ねて。 最初はあまり走れなかった。 今は毎日十キロくらい走っている。 あの公園に着く頃には軽く汗ばんでいる。 帰ってからのシャワーが楽しみだった。 今日は少しペースが速い。 折り返して少しくらいで、少し息があがった。 あの公園は八キロ地点くらいの場所にある。 私は息を切らせながら、公園へと入って行った。 木洩れ日が射す緑濃い小径を小走りに駆け抜ける。 木々に囲まれたあの場所。 自動販売機が近くに置かれたベンチ。 そこに、彼はいた。 ノートパソコンを膝に乗せて、考え事をしながらキーを叩いている。 その姿を見たとき、なぜか涙が溢れた。 慌てて拭って笑顔を作る。 深呼吸して、ゆっくりと近づいた。 「こんにちは」  声をかけると、金井さんは少しびっくりしたようにこちらを見上げて、ノートパソコンをパタンと閉じた。 「やあ」     
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