第四章 士官候補試験

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僕は、男に連れられ、宿というか、小屋の前に着いた。 「申し訳ないが、ここが宿泊場所だ」 「そうですか。わかりました(素直に引き下がる訳が無かろう?)」 「一つだけ忠告しておくぞ? 夜は、ここから出るなよ?(見張りをつけとけば問題無いだろう? まだまだガキだし……)」 「しつこい方ですね……。(怪しい事バリバリじゃないか……)了解しましたよ、と!(甘く見てくれた方がやり易くなるからね……)」 とりあえず、表面的には従っておく事にした。 夜中……、僕は、外の気配を探る。何人か、が外に出てきたようだ。 「(もう少し、様子を見るか……?)」 母さんから聞いた事ある話では、地球でも聞いた事がある、生贄を捧げる伝統が未だに残っている所があるとの事だった。大概、処女を捧げるというのが伝統で、生贄を捧げる事をしなければ、化け物が村を襲うという風説が残っているらしい。化け物からすれば、獲物が向こうからやって来るようなものだな……。 「(さて……、そろそろ行くかな……)」 僕は、戸を思いきり蹴飛ばした、戸の前に見張りがいたからである。 「うわっ!」 見張りが驚いて怯んでいる間に手刀を喰らわせ気絶させた。 「(後は、気配が向かって行った、山の方に行くとするか)」 僕は、死神特性の‘隠密’で闇夜に紛れ、移動を開始した。 少女は、緊張に時々肩を震わせながら、目的地たる、魔物の住み処の洞窟に向かっていた。当然、少女が逃げないように、見張りもついていた。 「(私はこんな所で死にたくない! 大人達は表には言わないけど、生贄なんて意味を為さない。魔物の討伐なんて、皇軍に依頼すれば良い事なのに、ここの人達は、外部の人達が入って来るのを忌避して、こんな事を続けている……)」 少女は、失望した面持ちで、目的地に近づいていた。 「(思った通り、今日が生贄を捧げる日だった訳だな……)」 僕は、少女を囲う見張りに紛れ込む事に成功、秘かに見張りを手刀で気絶させていった。 少女が洞窟の前に着いた頃には、少女を先導していた見張りと、少女、僕の三人だけになっていた。 「何だ、お前は!?」 僕が‘隠密’を解いた所で、見張りがようやく僕の存在に気付いた。 「僕は、ただの少年。あんた達が、外部に見せたがらない魔物というのが、どんなものか興味が湧いたんですよ……」 僕は、男に向かって、皮肉な笑みを浮かべた。
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