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「はっはっはー。逃げろ逃げろ人間ども。この『ワルイーダ』様の恐怖から逃げろー」
町に鎖鎌を振り回した、中世ヨーロッパの男性用礼服を着て、ピンクとブルーのロングヘアーの気味の悪い中年の男がそこにいた。
「きゃあぁぁ!」
「逃げろ―、逃げろ―」
「お母さん、あのひとなに?」
「しっ。見ちゃいけません。ほら、逃げるわよ」
様々な声が聞こえるが、実際こんなものだろう。
「ふははははー。逃げろ逃げろ、それを見るのが私の楽しみなんだよ!」
なんとも悪趣味な奴であり、可哀想な奴でもある。
しかしその時である。
「待てー!」
ワルイーダの後ろから大声で男の声が聞こえた。
「む? 何奴!」
ワルイーダが振り返ると、そこには。
赤の長袖にその上から赤のベスト。そして胸のところに一輪の花を挿し、赤の短パンに赤の靴をはいた青年がいた。
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