本編1

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「はっはっはー。逃げろ逃げろ人間ども。この『ワルイーダ』様の恐怖から逃げろー」  町に鎖鎌を振り回した、中世ヨーロッパの男性用礼服を着て、ピンクとブルーのロングヘアーの気味の悪い中年の男がそこにいた。 「きゃあぁぁ!」 「逃げろ―、逃げろ―」 「お母さん、あのひとなに?」 「しっ。見ちゃいけません。ほら、逃げるわよ」  様々な声が聞こえるが、実際こんなものだろう。 「ふははははー。逃げろ逃げろ、それを見るのが私の楽しみなんだよ!」  なんとも悪趣味な奴であり、可哀想な奴でもある。  しかしその時である。 「待てー!」  ワルイーダの後ろから大声で男の声が聞こえた。 「む? 何奴!」  ワルイーダが振り返ると、そこには。  赤の長袖にその上から赤のベスト。そして胸のところに一輪の花を挿し、赤の短パンに赤の靴をはいた青年がいた。
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