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そんな放課後の賑わいの中、芙美と美湖は部室に向かっていた。どこの部活よりも早く、生徒会の面々が文化祭の関係で構内を駆け回っているらしく、物々しい資材を担ぎながら彼女達の傍らを通り過ぎていった。
「何だか慌ただしくなってきたねえ。って言っても生徒会の人達だけだけどね。お祭り前、って感じだね。ワクワクしてくる」
「そうか? 私達は別に、いつも通りだけじゃない? ……まあ、私はてんやわんやしてるけどね」
「まだ終わりが見えないの? だからあれだけプロットの段階で練っときなさいって言ったのに……後で読んであげるから。金吾にも手伝ってもらいな。あいつ、左近先輩の次に進んでるから」
「うう……かたじけない」
芙美ががっくりと肩を落としたところで部室に着く。気を取り直して扉を開くと、大テーブルの周りを直哉と金吾、左近が取り囲んでいた。
「あ、先に来てたんだ。あのさ金吾、ちょっと頼みが……ある……?」
早速先程話していたことを言い掛けた美湖だったが、何やら様子のおかしい男性陣に言葉が尻すぼみになっていく。彼女達の到着に気づいた左近が振り向き、小さく手を挙げた。それに合わせて、残りの二人も芙美達の方へ顔を向ける。
そのどれもが難しい顔をしている。一体何があったというのか。芙美は美湖と顔を見合わせながら部室に足を踏み入れた。そして、そこで言葉を失った。
「これって……」
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