もう、ほんとムリ!

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近づいた瞬間感じる嫌な臭い。 君も、僕が横を通るたびに鼻を摘まんでいた。つまり僕が臭いと。 いやいや、隠してたなんて嘘つくなよ。バレバレだったよ。露骨に顔に出してたじゃないか。 僕は歯を食い縛ってでも君を傷つけないよう気を使っていたんだけどね。 まあ、それはいいんだ。別に気にしてないし。ぜんぜん。 僕は正直、君の周りに集まる人たちの気がしれなかった。あんな臭い女に寄っていくなんて正気じゃない。 そう思っていたよ。 え?いやいや、さっきのことを根に持ってるわけじゃないよ。 だって、包み隠さず言わないきゃ、お互いのためにならないだろ? 話を続けるけど、そんなとき僕の友人が君を好きになってね。 ほら、あれだよ。先月運動場から大声で告白してきた、あれだよ。うん、バカなんだ。 あいつに君が臭うって話をしたんだ。 落ち着いてくれ、ちがうそうじゃない。 それとなく何の臭いがするのか聞いてみただけだから。とりあえず拳を収めてくれ、頼むから。 アイツの答えはこうだ。 「なんだっけかな、"か"から始まる………か、か、カンケツ系!そそ、イチゴみたいな!」 すまない。 アイツは本物のバカなんだ。 本題はここからだ。 君の体臭が柑橘系か苺のどちらかだとしても、いい臭いであることに変わりはない。 だが僕にとって君の臭いは、その………真夏に三週間放置したカレーの臭いが、する。 悪い、悪かった。本当にすまない。 三週間は言い過ぎた、二週間と三日くらイタイッ! 君、意外と暴力的だな。いや謝らなくていい。僕も言い過ぎた。 でもまさか、近づきたくないからといって椅子を投げてくるとは思わなかった。 いや、僕も言い過ぎたから、このぐらいなんてことないから、気にしないでくれ。 ちなみに君は僕からどんな臭いがするんだ? け、結構言うじゃないか。 君さっきはよくも僕を殴れたもんだな。 すまない、話を戻そう。
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