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胸の奥の方が、何だかぎゅうってして、苦しい。
まさか、まさか、まさか。
私は脳裏に思い浮かべる。
体まで細くて折れそうで見上げないと会話ができない彼が、私の目線まで屈んで手渡してくれたことを。
細い目を更に細めてはにかんだ彼を。
心臓がどくどくと音を立てる。
「こんな、簡単に.....こんな! いとも簡単に!」
何故か分からないけれど悔しい気持ちになって、私は頭を抱えて叫んだ。
夜道に私の声が響き渡って、前から歩いてきたおじさんが驚いて肩を震わせていた。
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