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柱まではあと数メートル。じりじりと慎重に詰め寄る。柱の陰に着くや否や、その時は訪れた。立ったままの姿勢でハーフパンツを下ろした瞬間、ダムが決壊したかのごとく、勢いよく大が迸った。間一髪のタイミングであった。それとほぼ同時に、チリンチリンという間抜けなベルの音が、S通りの方から高架線の下を潜って来るのが聞こえた。その音を聞いた私は、凄まじいほどの反射速度で、思わずハーフパンツを腰まで持ち上げた。ハーフパンツを下ろして、再び上げるまで、その間わずか2秒ほどであったと私は記憶している。もしもこの時、私のことを見ていた人がいたとしても、正面からであれば、露出狂だと思うことはあっても、用を足していたと気づく人はいないだろう。それほどの早業であった。
結局、ベルの主であった老人は、柱の陰にいた私に気づくこともなく、そのまま、前を通り過ぎて行った。
すっきりした私はその場を後にすると、何事もなかったように再び走り始めた。パンツの中でわずかな湿り気を感じる。しかし、その不快感よりも、安心感、充足感の方が勝っていた。
S通りにやって来た私は、来た時と同じように上り坂を快調に駆け上がった。腹の痛みはまったく気にならなくなっていた。
おわり
このような低レベルで下品な話を、最後まで読んで頂きました皆様、ありがとうございます。すごく嬉しいです。
そしてこの話を読んで、気分を害された方がいらっしゃいましたら、申し訳ありません。
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