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「あの、パンキライアピールとか」
「ヒナのこと知ってますアピールとか!」
「まさに、甥っ子!!」
「甥っ子だと思ったら、アイツの残したの片づけてやろっかなーって思えるわ~」
「じゃ、私も皿洗ってやろうかな~」
二人が、笑いながら片づけている横で、ゆっくりとお茶を飲んでいる加山君に、「ごめんね」と言うと、「どうしてですか?」って首を傾げられた。お皿の方はすっかり空っぽだった。
「えーと、食べている横でうるさくて?」
「ああ、全然です。僕兄弟多いから。まわりで騒いでる内容、聞くのも聞かないのもすっかり自分次第ですよ」
余裕の笑顔。
「だから?」
「何がです?」
「一年生なのに、しっかりしてるの」
加山君が、ふっと笑った。
「僕、しっかりしてますか」
「うん、してる、と思うけど……」
なんだか、気にかかる言い方と笑い方だったから歯切れが悪くなる。
「でも、一年にしては、ってことですよね?」
「ん? そうだけどー…、そうじゃない、かも」
そりゃあ確かに一年生にしたら、しっかりしすぎてるくらいしっかりしてる。それは間違いないんだけど。
「うーん。なんだろ。加山君は、なんていうか、そうゆうの関係なくて……人としてしっかりしてる!」
「ぶふっ!」
「……と、思う、よ」
「ふははっ! ……ハイ」
思いっきりふきだされたので、なんか間違えたかと思ってしまう。でも今は心底可笑しそうに笑っていて、さっきの違和感は消えた。
「……ありがとうございます」
まだクスクス笑いながら、お礼を言われた。
「え?」
「人としてしっかりしてるっていうのは、結構、うれしいです」
「……そお?」
「はい」
「なら、良かった」
加山君は、立ち上がって自分でお皿を洗い始めた。
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