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「でもだいたい10位には入ってるだろ? ……っていうか、なんでフレンチトーストってミントの葉とか飾ってあるわけ? 食わないのに」 「……ていうか、島田なんでいるわけ?」 当然のように、フレンチトーストをほおばっている島田は、同じクラスの男子だ。実習の日やクッキング教室のときをかぎつけてはいつもふらりとやってくる。 「お前、まだ就職するとか言ってんの? うちの学校きて、しかも俺と同じ理系クラスで、そんなこと言っても取り合ってもらえるわけないだろ」 少しは考えろよなー。 「そう、だね」 曖昧に笑っていると、続きが頭の上から降ってくる。 「大体お前さー親が……」 「ウマッ! 先輩! 僕ティラミスが一番好きかと思ってましたけど、このバゲットのキャラメリゼ、めっちゃうまいです!」 加山君が、目をキラキラさせている。 「そ、そう? ……よかった、です」 こんなに喜んでくれると、うれしいけど、ちょっと照れる。 「蓮くん、紅茶もっとのむ? ロイヤルミルクティにしてあげようか?」 「蓮くん、冷蔵庫に部員秘蔵の生チョコあるんだー。一個味見する?」 南と牧が加山君にだけサービスを始める。 「俺は?」 島田が不服気に声を上げた。牧と南の氷より冷たい視線が島田を射る。 「……水でも飲んどけば? 水道ひねったらいくらでも出るでしょ」 「蓮くん、今日すっごい助かった~。ほんとにありがとう。……で、島田はなんで勝手に食ってるわけ? 許可してないけど」 あーあ、と思う。島田のへそが曲がっていく音がする。 「俺だって今日パンだって知ってたら来なかったよ! あーあ、和食の日だったらよかったのに!」 案の定、ふんっと鼻息荒く立ち上がって、 「わざわざ、ヘタクソの試食しに来てやってるんだよ。……でも日本人はやっぱ米だよな。パンはいまいち! じゃあ俺忙しいから帰るわ」 と、ガラガラとドアを開け、ぷいっと行ってしまった。
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