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「こんばんはー。」
背後から声がする。
振り返るとあの男が立っていた。
この前とは違うダークグリーンの着物で、髪は相変らずくしゃくしゃだ。
「こ、こんばんは。」
なんとなく緊張して声が上ずってしまう。
「この前は、雑誌譲ってもらってすんませんでした。」
男は頭をかきながら頭を少しさげた。
「えっいや、私の方が先に読ませてもらったし、別に雑誌なら何でも良いから……」
「え?そうなんすか。てっきりあの雑誌が読みたいのかと思ってました。」
そうゆうと、彼は私の前にある雑誌を引き抜いた。
「この雑誌、知ってます?」
男が手に取った雑誌はGaLAの最新号だった。
知ってるも何も私がの編集担当なんだけど。
と言いたいところだったが、話を合わせる事にした。
「知ってますよ。ファッション以外にも色々載ってますよね。」
「そうなんですかー。」
彼は興味があるような無いような返事をして、GaLAを読み始めた。
今度取材に来る事を気にしているのだろうか。
あの企画書のプロフィールを見る限りではメディア嫌いな感じだったし、 ここで言わないで取材に行くのも何だか悪い気がする。
サヤカが言うには一応OKをもらってるらしいから、 言ってしまった方が良いのかもしれない。
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