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階段を上がると畳の部屋が二つ、その奥が台所や洗面所のようだった。
部屋の中は意外とこざっぱりとして、どこか懐かしい感じがする。
奥にある畳の部屋に案内され、私達は用意された座布団の上に座った。
藤本さん以外に人はいないようだ。
しんとした部屋で、年季が入った掛け時計の音だけが響いている。
会ったら何か言われるかと思っていたが、他人行儀な感じだったのでほっとした。
でもほっとした反面、ちょっと残念な感じもする。
しばらくすると台所で藤本さんがお茶を入れて、茶菓子と一緒に持ってきてくれた。
こちらが名刺を渡し軽く挨拶をすると、サヤカが今日の大まかな流れを話す。
それを聞いて藤本さんは、こくこくと頷いている。
私は今日の取材内容が書いてある書類を並べたり、録音機材やメモの準備をしたりと謂わばアシスタントみたいな役割に徹する。
大久保君が隣りで黙々とカメラの準備を完了させ、いよいよ取材が始まった―。
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