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第五話 藤本書店ー其の二ー
「はぁ、何か緊張しますねぇ。若い綺麗なおねえさんと格好良いおにいさんに囲まれて……。」
そういうと藤本さんは頭をかいた。
「あはは、藤本さんっておもしろい方ですね。お若いのに何だか古風っていうか、職業柄、仕方ないんでしょうか?」
「どうでしょう。祖父とずっと暮らしてたので、変わってるのかもしれないす。自分ではあんまりわかんないすけど。」
「おじい様はもう引退なされたんですか。」
「ちょっと具合が悪くなってしまって今入院してるんす。両親が他界してるんで私が継ぐ事にしたんすよ。今のところ『店長代理』ですけど。」
「じゃあ、おじい様の具合が良くなったら副店長ですね。」
「はぁ、副店長って言っても従業員は雇ってないんで、肩書きはあんま関係ないすけど。」
「そうですか。着物を着ているのはおじい様の影響ですか。」
「そうすね。着物が普段着なんで、洋服はほとんど着ないすね。」
基本的にサヤカが質問してそれに藤本さんが淡々と答えるというスタンスだ。
私は黙ってメモをとる。
大久保君は彼を撮り終わると、店内を撮ってくると言って、一階に下りていった。
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