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「すんません。お待たせしまして。」
「良いんですよ。それより、あれって黒電話ですか?」
「そうすよ。うちはずっと黒電話す。」
「へーすごいですね~。初めて動いてるの見ました~。」
「呼び鈴が大きいんで、うつらうつらしてると起きれて良いすよ。」
「あはは、勤務中、寝ちゃだめじゃないですか。」
こうやって見ると、サヤカと藤本さんって結構お似合いなのかも。
マイペースな藤本さんに良い具合でつっこみを入れるサヤカ。
二人の会話ははとても自然なものだった。
二人の掛け合いを見ていると、何となく悲しくなっている自分がいた。
何で悲しくなってるかはわからない。
本当はわかってるけどわからない事にする。
「それでは、長い間お邪魔しました。」
「へぇ。こちらこそありがとうございました。」
「ではまた細々とした事でご連絡させて頂くこともあると思いますが、その時はよろしくお願いします。
藤本書店のコラムが出る号はお店にお送りいたしますね。」
「そんなしてもらわなくても良いですよ。お手数かけまして。」
「いえいえ、また遊びに来ます。」
そういうとサヤカ得意の営業スマイルを藤本さんに投げかけて店から出る。
私も軽く会釈をしてお店を出た。
「サカモトさんも、また。」
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