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「他の人?そうすかねぇ……。他の人っていうのがよくわかりませんけど、みんな違うところがあるから面白いんじゃないすかねぇ。サカモトさんも私から見れば違う感じがしますよ。」
そう言うと、じっと大きな目で見つめてきた。
なんだか全てを見透かされているみたいで、緊張した。
確かに他の人っていうのは、私が考えている世間一般の人で、藤本さんから見たら私はまた変わっているのかもしれない。
自分の言った言葉がなんだか軽率な気がしてきて、視線を逸らしてしまった。
「……りょーこさん、ちゃんと立てますか?」
「えっ?あ、はい。もう大丈夫です。
すみません……って、何で、名前……?」
「あ、この前もらった名刺に書いてあったので。やっぱりちょっと慣れ慣れしい感じでしたね。すんません。」
彼は慌てて頭をぺこりと下げた。
「え?あ、いや、そんなことないです。わっ。」
突然名前で呼ばれて驚いてしまい、少し足元がぐらついてしまった。
「大丈夫すか。まだ酔いが覚めてなさそうすね。……なんだったら、おぶりましょうか?お家まで。」
「え?え、大丈夫です!そんな、一人で歩けますよ。」
突然の藤本さんの申し出に声が裏返る。
恥ずかしいところを見られたあげく、おんぶされるなんて心臓が爆発して死んでしまいそうだ。
色々な事が短時間に起こりすぎて、私の頭と心臓はどうにかなりそうだった。
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