75人が本棚に入れています
本棚に追加
明日、藤本書店に行ってみよう。
突然行ったら迷惑だろうか。
でも手ぬぐいを返すだけだし、わざわざお店に電話を入れるのも変だな。
考えすぎは私らしくない。
とりあえず明日は出かけてみよう。
そう決めて早めに寝ることにした。
次の日、起きると10時を少し過ぎていた。
休みの日はどうしても気が緩んで遅い時間に起きてしまう。
お昼までには出ようと思い、軽く化粧をして、シャツとパンツといったシンプルな服を選ぶ。
私はスカートをスーツ以外持っていない。
自分には似合わない気がして、私服は大体パンツスタイルだ。
女っ気がない格好の自分につくづく溜息が出るが、仕方がない。
マンションを出ると、癖でコンビニに目がいく。
そういえば、コンビニの商品とか、草士さん食べた事あるのかな―。
ふとそんな考えがよぎる。
この前のお礼に何か甘いものでも買っていこう。
コンビニのスイーツを買って行ったら案外面白いかもしれないと思い、新商品のプリンを手に取る。
プリンの入ったコンビニ袋とバッグを手に、電車に乗る。
藤本書店の前に着くと、妙に緊張した。
仕事で行った時の方がすんなり入れた気がする。
扉の前で軽く深呼吸をして引き戸を引いた。
チリンとドアベルが鳴る。
中にはお客さんはいないようだ。
最初のコメントを投稿しよう!