第十一話 追想―其のニ―

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昨日をいうことは仕事が終わった後、ここに来たという事だ。 今週は忙しかったのに、どうやってこの人気店のシュークリームをサヤカが手に入れたかが気になった。 そしてそのシュークリームを差し入れるなんて、サヤカは草士さんの事が本気で気になっているのではないかという考えが浮かんだ。 人気のシュークリームとコンビニのプリン―。 到底勝ち目はないし、出すのも恥ずかしい。 本当に私は何もわかっていないと思い、苦笑いをしてしまう。 「りょーこさん、お嫌いですか?りょーこさんには和菓子よりこっちの方が良いかと思ったんすけど。」 「あ、はい。美味しいです。とっても。ここのシュークリーム、すごい人気でいつも売り切れなんですよ。」 「へぇぇ。そうなんすか。あんまり洋菓子は食べないんでよくわかんないすけど、気にって頂けたなら良かったす。ってワタシが買ったんじゃないすけど。」 草士さんはにっと笑ってシュークリームを頬張る。 サヤカとも一緒にお茶でもしたのだろうか。 胸のあたりが少しズキズキしてきた。 「お茶に付き合わせてしまってすんません。お出かけの途中で来られたんすか?」 「いえ、今日は特に予定もなかったので。」 「そうなんすか。買い物袋持ってたんで、何処か行ってたのかと。」     
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