第十一話 追想―其のニ―

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買い物袋と言われてはっとした。 コンビニの袋をバッグに入れないで、出しっぱなしで歩いてきてしまったのだ。 「それってもしかして、コンビニの袋すか?」 「え?いや、その……。気にしないでください。大したものじゃないので。」 私の言動を怪しく感じたのか、突然草士さんは立ち上がり、私の隣に座った。 コンビニの袋をじっと見つめている。 「……もしかして、コンビニのお菓子ですか?」 彼の顔が近い。 恥ずかしさと緊張で顔が赤くなっている、ような気がする。 「えっと、コンビニのプリンです。何だか美味しそうだったので……。それで、草士さんはコンビニの商品食べた事ないかなって思って……良かったら、食べますか。」 かなりテンパって、咄嗟にプリンを進めてしまった。 シュークリームを食べたばかりなのに、また甘いものを勧めるなんて。 ましてコンビニのプリンなんて。 穴があったら入りたい気分だ。 「……空けてもいいすか?」 「え?はい、どうぞ。」 草士さんは容器を上から下に、まじまじと見たあと、恐る恐るプリンのパッケージに手をのばす。 プラスティックのスプーンもまじまじと見つめ、スプーンをビニール袋から開封して、プリンを口に運んだ。 「……。」     
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