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第二話 奇遇
あの不思議な夜があけて、また仕事漬けの1週間が始まった。
ただいつもと違うのは、コンビニであった妙な男が頭から離れないということ。
名前も聞かなかったし、気になっても仕方がないか―。
小さくため息をつきながら会社のタイムカードを押す。
私は今、GaLA(ゲイラ)という20~30代女性をターゲットにしたファッション誌を担当している。
ファッション誌といっても、ファッション、ダイエット、恋愛以外にもグルメや経済などのテーマも取り上げる週刊誌で、男性の読者も多い事が売りだ。
出版社としてはあまり大きくない会社なので、編集実務、取材なども出来るだけ自分たちでやることになっている。
「リョーコ!リョーコ!」
騒がしく私の名前を呼びながら近づいてくる女がいる。
彼女の名前は美崎サヤカ。
会社で同期の友人だ。
外見は小柄で髪型はゆる巻きのセミロング。
小動物系の雰囲気で男性陣からは人気が高いようだ。
サバサバした高身長な私と人懐っこい小柄なサヤカは凸凹コンビなんて言われてることがあるらしい。
「ちょっとちょっとリョーコ、聞いてる?」
「あっごめん。聞いてなかった。」
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