私の明日に君はいない

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 バスケ部に籍を置くわたしたちだったが、その実力には天と地の差があった。  小学生の頃からバスケを嗜むわたし――猪岡明日香は、中学でもそれなりの成績を残した、自分で言うのもなんだが、スタープレイヤーだ。  対して良和は、高校に入ってからバスケを始めた、超初心者。未だにシュート一本、まともに決められない選手が、レギュラーになどなれるはずがない。 「そんなの、やってみなきゃわかんねーだろ。神様はいるんだ」 「せいぜい、バスケの神様と仏様にお祈りしておくんだね」 「うるせ」  つん、とそっぽを向いて自転車を押す。徒歩通学のわたしに合わせて、良和は自転車に乗らず、手で押していた。そのちょっとした優しさが、こそばゆい。
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