1人が本棚に入れています
本棚に追加
バスケ部に籍を置くわたしたちだったが、その実力には天と地の差があった。
小学生の頃からバスケを嗜むわたし――猪岡明日香は、中学でもそれなりの成績を残した、自分で言うのもなんだが、スタープレイヤーだ。
対して良和は、高校に入ってからバスケを始めた、超初心者。未だにシュート一本、まともに決められない選手が、レギュラーになどなれるはずがない。
「そんなの、やってみなきゃわかんねーだろ。神様はいるんだ」
「せいぜい、バスケの神様と仏様にお祈りしておくんだね」
「うるせ」
つん、とそっぽを向いて自転車を押す。徒歩通学のわたしに合わせて、良和は自転車に乗らず、手で押していた。そのちょっとした優しさが、こそばゆい。
最初のコメントを投稿しよう!