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――タイムスリップ。
そんな単語が頭をよぎる。
現実的ではない。何かの物語のようだ。映画かなにかのような――
でも、今はそんなこと関係ない。
良和が生きている。
その事実だけが、わたしを支えている。
「おい、明日香?」
「っ、な、なに?」
「なに、じゃねーよ。ボケーっとしちゃって、熱中症でも起こした?」
心配そうに顔を覗き込まれる。
ドキリと大きく音をたてる心臓。心臓――そう、心臓が、動いている。生きている。
「だ、大丈夫大丈夫。ちょっと考え事してただけ」
「あ、レギュラー落ちするかもって? 俺に抜かれるかもって?」
「それはない。断じてない。神様に誓ってもない」
「そんなの言い切れねーだろ!!」
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