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撮影中に出演者の死亡事故を起こし、結局製作中止になった映画があった。
製作会社は倒産し、権利関係が錯綜しているうちにオリジナルもどこかに行ってしまったといういわくつきの作品だ。
その映画の主演女優だった加賀美が、監督をつとめていた匡がの三年ぶりの来訪を受ける。
加賀美は主役オーディションに受かって映画デビューするはずだったが、製作中止のため失意のうちに結婚・引退していた。
匡は、紛失していた原版が発見されたと言って、見てくれという。
加賀美はもう終わったことだし、わざわざ嫌な思い出のある映画など見たくないと言うが、見てくれというのは違う意味だと匡は言い張る。
再生された映像を見ているうちに、加賀美は奇妙なことに気づく。
事故で亡くなった助演の桜田真澄は、加賀美と共演するシーンが多く用意されていて、それらを撮る前に死んでしまったのだが、その未撮影のはずのシーンがあるのだ。というより真澄は出番の撮影の前に亡くなっているので、撮影されたシーンなどあるはずがない役としては真澄と加賀美が恋敵同士で、ハサミを持った真澄に加賀美が襲われて刺されるシーンが台本にはあったが、真澄が死んだことで撮影されないで
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