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デイヴィッドが思わず後ずさりしたとき、天蓋付きベッドの方からか細い声が聞こえてきた。
「……だれ?」
思わず聞き惚れてしまうほど、それは綺麗な声だった。
デイヴィッドは乾いた唇を一度舐め、口を開いた。
「お前が、オズワルドの宝物か?」
デイヴィッドの質問にその綺麗な声は答えない。
もともと、短気でせっかちなデイヴィッドは返事のないことに苛立った。
先ほどの衝撃も忘れ、ずんずんと天蓋付きベッドに近づいていくと、ピンク色の分厚いカーテンを勢いよく開いた。
そこで、デイヴィッドは再度衝撃を受ける。
怯えたように縮こまり、デイヴィッドを見上げるのはとても綺麗な少年だった。
青い瞳に涙を溜め、ぽってりとした赤い唇を震わせているその姿は、いやに扇情的であった。
銀色の艶やかな髪が、さらにその少年の麗しさを神秘的にさせていた。
思わず少年に向かって手を伸ばしかけている自分に気づき、デイヴィッドは愕然とした。
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