プロローグ

2/6
前へ
/163ページ
次へ
世の中は目まぐるしい程の速さで、進化していく……。 世はハイテク化が進み、人々はそれに対応するべくして、日々変化していく。 ただ………。 変わらない事や物もある………。 燃え盛る炎………。 それは恐ろしくもあり、時には美しさを感じる事すらある。 その炎が激しく焼いているのは、高層マンション。逃げ延びた人や、脱出した時に力尽き倒れている人…、体に火が纏わり付きもがき苦しんでいる人など様々だ。 倒れている人の一人が、儚い目で炎をみている。 その者は思った。私は死ぬのか?と……。いや、むしろこのまま死にたいとすら思った。 死に場所を探していたのかもしれない……。 結局私は何も出来なかった。救う事も、守る事も……。 この間違った世界では、私は無力だ。 だが、死に場所がようやく見つかり、やっと終わる事ができる。 その頃ようやく地元警察や、救助隊、消防隊などが到着し、救助作業にかかり始めた。 「This has a person!(こっちにも人がいるぞ!)」 消防隊の一人が、炎を見つめている人の方へ走ってきた。 倒れている人の状況を確認し、消防隊は叫んだ。 「Still lives!(まだ生きてるぞ!)」 私を助けるのか? 「Hey doctor!Come to this place early!(先生!早くこっちにも来てくれ!)」 先生と呼ばれる人物は、駆け足で消防隊の方へ向かってくる。 こっちへ来るな……もう……死なせてくれ……たの、む………。 ここで意識が途絶えた。 高層マンションを焼き尽くす業火の原因は、富裕層を狙ったテロ行為であったことが後で分かった。 世界各国で貧富格差が広がる事は今の時代珍しくはなく、この国も例外ではない。 この高層マンションは、ただ単純に富裕層だけが住んでいるだけでなく、政府関係者の人間も数名住んでいて、テロの標的になる理由はある。 今起こったこのテロ事件は、数多くある事件の一つにすぎなかったが…、後にこの事件をきっかけに、世界を動かそうとする、人物が現れるのを、今は誰も知ることはなかった。
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加