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葵は部屋にこもって、パソコンをいじっていた。
いつもの甘いアイスカフェラテを一口すすり、軽くため息をついて呟いた。
「やはり……開かないか……」
すると葵の部屋に美夢と有紀が入ってきた。
有紀が葵に言った。
「どうだ?開いたか?」
「ダメです……開きません。やはりこの七桁のパスワードを解かないと、ダメみたいです。思い当たるワードは試してみましたが」
葵はパソコンのアプリ『AMS』を開こうと試みたようだが、どうやらダメだったようだ。
葵はいつものように、自分の髪を指でクルクル回している。考え事をしている時の癖なのだろう。
葵は有紀に聞いた。
「プールの水はどうでしたか?」
有紀は淡々と答えた。
「水質はいたって普通だ。例えるなら、水道水をろ過して飲めるくらいの水だな……泳ぐのには問題ない」
「そうですか……で、皆さんはどうしてます?」
美夢が答えた。
「皆それぞれ楽しんでるよ、愛美さんと容子さんのOL組はプールで遊んでるし……九条さんと歩さんは広場でゴザ開いてビール飲んでるし」
葵が美夢に言った。
「で?美夢は遊ばないのか?」
「あんたを呼びにきたんでしょっ!ねぇ……私たちも行こうよ……堂島さんがお茶飲ましてくれるって」
葵はそっけなく答えた。
「僕はこっちのほうが楽しい……」
葵はパソコンから離れようとしない。そんな葵を見て、呆れ気味に美夢が言った。
「あんたねぇ……協調性が無さすぎ……」
頭を抱えた美夢を見かねて、有紀は葵に言った。
「葵……まぁ、そう言うな。美夢の気持ちも察してやれ……それに気分転換も必要だ。そのために旅に参加したんだろ?」
葵は時間を確認した……午後3時30分過ぎ……そして、有紀と美夢に言った。
「わかりました。ちょうど甘い物が食べたかったところです……堂島夫婦にお茶菓子でもご馳走になりましょうか……もっとも苦いお茶は御遠慮しますが」
三人は部屋を出て、広場とプールの方へと向かった。
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