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そんな、切ない目をしないでくれ。
そんな、優しい目で俺を見るなよ。
なぁ、お前は俺とどうなりたいんだよ…
いたたまれない気持ちが押し寄せる。なんか、チクチク刺さるんだ。俺が悪いみたいに。
「隊長?」
「トイレ」
俺は立ち上がって、その場から逃げた。さすがのこいつも、トイレにまで一緒には行かないから。
そうして一人になって、砦の屋上へと出た。この砦は辺境地にあって、街と村と森の警護や、モンスター討伐が主な仕事になっている。なので、屋上からの眺めは遠く森を見る事ができる。
「はぁ……」
落ち着かない気持ちで一杯だ。前までの俺じゃないみたいだ。
手すりに身を預けて、ぼんやり外を見ている。
その隣に、人が並んだ。
「何らしくない顔してるんだ、隊長」
「グラン」
隣に並び、同じように外を見ながらタバコを吸いに来た奴を睨む。
グランは古い仲間だ。それこそ、俺が平騎士だった時からだ。
口は悪いが面倒見がよくて、よく気がつく男。器用で、何でもやってのける。
何よりこいつは他の兵が憧れるほどに格好いい。厳しい部分すらもいいと言う奴がいる。
「エルク、お前フレイに告られたんだって?」
そして情報通で、とんでもない爆弾を落としていく。
「なんでそれ!」
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