一談目 第1章 綺麗な歌声

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2日っていうものはとてもあっという間だった。 これまでいっぱい練習したし私も自信しかない。選ばれるのはこの私。赤芽真希なのだ。 「マイ。楽しみだね。」 「うん!誰が選ばれるかな?」 結果発表が迫る。 大丈夫。大丈夫。私の歌は他の人よりもレベルが高いのだから。 キィーンと安物のスピーカーからマイクの音がする。 「本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。」 お父さんがつまらなく長ったらしい挨拶を済ませると 「早速今年の歌い手の発表に移ろうと想います。」 私だ。私に違いない。だって私は特別だもの。 さあ。お凸さん。早く言ってよ。今年の歌い手は【赤芽真希だって。】 「今年の歌い手は…」 ドキドキ、 心臓がやけにうるさい。 ドクドク、 血が早く流れる。 「奥寺秋邪です」 わぁっと拍手や喝采が響く。 周りから「やっぱり秋邪君だったね」と声がする 私のはずなのに。私のはずだったのに…。 「イ……マイ!!」 ハッ 「ご、ごめん。秋邪。おめでと。」 隠さなくちゃ。喜ばなくちゃ。 だって秋邪はとても大切な友達だから。 「僕が選ばれるなんて意外だな。てっきりマイかと思ってた。」 そんなこと思ってないくせに。 本当は私のことを嘲笑っているんでしょう? ざまあみろって思っているクセに。。。 「私はシュウちゃんだと思ってたよ。」 しっかり笑えているかな?? この汚い感情は神社の娘に相応しくないに決まっている。 「お祭りまであと何日だっけ?」 「確か再来週じゃなかった?」 「そっか。……応援してるよ!!」 再来週まで隠そう。 衣装作り手伝わなくちゃ 舞台もしっかり作ろう。 お面はどこにしまったかな?? 今までの頑張りはどこに行ったのかな??? 再来週までに事件が起きないかな?
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