魔獣

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人間界に弟を残して幻界の建て直しに力を入れ始めてから10年。 お付であったユーリと結婚もして10年。 子ができる前に、前回の揉め事での傷跡がまだ界全体でやっと治りつつあるところに揉め事の連続で、会いに行ってやりたいのに、行くことさえ出来ていない。 「兵を城に残して私の部隊で鎮圧に行く。準備しろ」 「陛下!」 「文句は聞かんぞ?」 「そうではなく、魔物は各地に出ております。采配を……」 「だーかーらー。私が出向くと言っているだろう?」 「ですが……」 「ユーリ、兵だけではあの変化した魔物には太刀打ちできん。私が部隊を率いて飛ぶ。魔界の手助けがあればいいんだが、天界も魔界も今はまだ忙しい。奏太を呼んだところで、戦力はノアぐらいのもんだ」 「分かってますが……それでも貴女は陛下でもあり、今は私の妻でもあるんですよ?」 「煩いなぁ。そんなことは分かってる!では、街のものを放っておくのか?お前はそれでいいのか?私の国だ、私が動かずして誰が動く?」
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