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貿易都市・コーベリア。
ランパルド王国の王都・エルワンダより南方50キロ程下った海沿いの街で、南の国のほか、数々の島と貿易を行なっている。
しかし数十年前は、『漁業は男の職業、故に働く必要がない女より上だ』という風潮により男尊女卑の気風が激しく、女性は常に男性から虐げられるという事が起きていた。
その気風を見事に取り払ったのが、のちの
『黄色の黄昏』のギルドマスターとなる女性、『アリサ・シーシェパード』だ。
彼女はこの街にはびこる風潮を取り払うべく、協会職員と共に当時地方ギルドだった
『絶海の黄昏』に乗り込み、魔導士協会から受けた所有委任状と、魔導評議会から受けた活動停止及び逮捕状を見せつけた挙句に、自身の魔法で蹴散らした。
それを機に、コーベリアに男尊女卑の気風は無くなり、港町という活気溢れた街へと変貌したのだ。
それからはいくつか出来事があったものの、この話には特に関連性も関係もないので割愛するが、
今回はその魔導士ギルド『黄色の黄昏』の話である。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「うぁっ!?」
突風の如く飛んで来た空気の弾丸は、如何にもガラの悪い痩身の男の右手を弾き飛ばした。
恐らく威力は抑えているだろうが、それでも相当な痛みであろう。
「ぐっ……何しやがる……!」
右手をもう片方の左手でを押さえる男は、大通りのある方向を睨みつける。
丁度そこには、一人の青年が立っていた。
上は腰にも届かない丈のジャンパーに、ジャンパーの下にTシャツを着用している。下はわざと破いたようなジーパンを履いており、若者に近いファッションをしていた。しかしその背中には、格好に似つかわしくない、鉄製の棒を背負っていた。
そしてジャンパーの背中部分には、地平線に沈む太陽のマークが刻まれている。
「何だって?その女性に何しようとしたのか、教えて貰いたいもんだが?」
青年が指差す先には、男の仲間らしき体格の良い男と、その男に組みつかれて動けずにいる女がいた。様子からして、女は男の連れとは言いがたく、他人とも取れる。
「ただでさえ、コーベリアは未だ男尊女卑の考えで溢れた街と、外部の人間からよく言われている。現にこうやって、お前等が女性に襲ってるとわかると、頭が痛い限りだ」
青年は背中にかけていた鉄製の棒を引き抜き、地面に叩きつける。
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