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〈焔玉機関〉――
それは、〈前文明〉の遺跡から発掘された巨人機械に搭載されていた動力機関を元に研究、制作された、現在、ゴンドア大陸で最も優れたエンジンである。
焔玉機関は、現在の所、鉄甲騎並びに飛空船の主動力としてのみ利用されている。
理屈は蒸気機関そのもので、焔玉の熱で生み出された蒸気の圧力を利用し、動力とするものなのだが、この焔玉機関は、複雑な装置を介することで少量の蒸気で効率よく、信じられないほどの高出力を生み出すことができる。
ただし、その制御は非常に困難で、鉄甲騎の項で説明したとおり、操縦士とは別に機関士と呼ばれる技師を同乗させる必要がある。
また、焔玉機関には不可解な機能が備わっている。
焔玉機関に一定以上の蒸気を注入すると、出力が上昇するだけでなく、装甲の防御力を含む機体性能全体が底上げされ、その上、機体によっては〈浮上現象〉と呼ばれる状態になる。それは、その言葉通り機体が地面より浮上し、まるで氷の上を滑るように疾走、更には、自身の身長の十倍を超える跳躍力を発揮させることを可能とする。
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